絵を始めたとき、ほんっとになにもわからず、今から思えばずいぶん回り道をしたなぁ・・・と思うことがいっぱいありました。知ることは好きなので、まだまだ知らないことは多いとはいえ、大学にも通い、膨大な時間をかけて広範な知識を吸収したので今はあまり困らなくなりました。ブログを作るにあたり、始めたころのことを思い出して、絵画初心者の方とかには役に立つ知識、ぼくが知って「あ!なるほどー」って思った先輩たちから学んだ知識、初心者ならではの気が付かない知識系を書いていこうかなあと思いました。それと・・・
実は絵の鑑賞が好きな人にも役に立ちます。プロフでも書いているように絵は観る人の心の中で完成するものだと思っているので。作品展やったとき、多かった質問が「これどうやって描いたの? 」と「何故この絵を描いたの? 」でした。なので、絵を見て楽しむ人にも役立つように、切り口を少し変えて書くつもりです。
絶対役に立つ! 鑑賞者にとっても技法の知識は作家のヒミツに迫る武器なのだ!
などと大上段に振りかぶって大丈夫かいな?? とおもいつつ、とりあえず始めてみます。動画もいいんだけど、結構まどろっこしいところもあって一長一短。とりあえず文章力で。わからなければコメント欄からなんでも聞いてくださいませ💛
アクリリックポーリング技法とは 2024年5月4日(土)
ポーリングとは英語でpouring つまり垂らすという意味。ポーリングメディウムとアクリル絵の具を紙コップなどの中で混ぜ合わせます。それをボードなどに垂らして、そのあと、いろんな処理、例えばペインティングナイフで擦って伸ばしたり、ドライヤーの風でちらしたり、自由にできる紋様のようなもので描きます。特徴は、このメディウムは絵の具を重ねて垂らしても混ざらない。だから不思議な模様になっていくのです。比率は大体メディウム10に絵の具1くらいかな・・・色々試して自分好みにすればいいです。youtube にも沢山UPされてますので興味があれば見てみましょう。https://www.youtube.com/watch?v=YwJI0_7nkrA
トレースの仕方 2023年3月22日(水)
何から描こうかな・・・岡部先生に習って、当たり前の常識レベルなのに「そうやってやるのか!!」と感動したトレースからかな・・・デッサン至上主義の人は退場! デッサンはものすごく大切なんです。でも一方トレースも便利な上に画力向上の大きな技術だとわかりました。
① ネットから気に入った画像を見つけ、プリントする。著作権にご注意を!
② 自分の好みの大きさに拡大縮小コピーする。拡大縮小のサイズがわからなければ、ネットに「拡大縮小計算機(https://tools.m-bsys.com/dev_tools/zoom.php)があるので、ここに希望の縦横サイズを入れれば何倍にすればいいのかがわかります。コンビニなどでその設定でA3サイズの用紙でコピりましょう。とても大きいものにしたい場合は部分を何枚もコピってつなぎ合わせます。
③ コピーの裏の転写したい部分をできるだけ濃い(10Bとか)鉛筆で縦横斜め、手を抜かずにひたすら塗ります。
④ 描く紙の上にこれをセロテープなどで貼り付け、ボールペンで転写したい線をなぞります。この際、どこをすでになぞったかわかるように百均の細い3色ボールペンの赤とかを使うといいです。
以上です。カーボンを使ってもいいんですが、水彩系は後から線を消す必要もあるのでおススメしません。カーボンを使った方がよかったのは、線を塗り込んでしまう場合や、すでに塗った背景の色が濃くて鉛筆の線ではよく見えない時でした。
スパッタリングのコツ 2023年3月25日(土)
練習100枚は紙にやったなぁ・・・面白くて面白くて(^^) こんな簡単なテクさえ知らず、「星や雪って、小さい筆でぽつぽつ描くんだよなぁ・・・大変だなあ・・・」と感心していた純粋な自分に戻りたい・・・
とは微塵も思いません!!「なんちゅう簡単便利で効果的な方法や! こら使いまくるでー」ですわ(笑)
まず、スパッタリングって霧吹きとか訳されてるのかな? 筆に絵の具付けて指ではじくと点々が飛ぶでしょ? それやること。なんか金網つかったりもあるけど、最大のコツ、それは、事前に納得いくまで別の紙にやってみる! これにつきます。それめんどくさがる人は3流か、すでに完璧に技術あってやったあとのイメージを描ける人(いればね)
ぼくは色画用紙たくさん持ってて、スパッタリングする絵に近いものを選んで、絵具と水の割合とか使うブラシや筆(歯ブラシとか便利だけど、絵によって平筆がいいときもあるし、)とにかくあれこれ試します。必要なときは透明ラップを絵にかけて、その上に実際にスパタリングをすることも。ふと見ると下敷きの新聞紙にキライなタレントさんがいればその顔にも「オラオラオラー^^;」
その他のコツ
・めっちゃしぶき飛ぶので絶対周りは新聞紙とか広く敷いておく。ぼくはなめてかかって、 PCの画面(狭いのでPCの前で描いてたりする)に雪降らせてえらい目にあいました。
・絵のかけてはいけない部分はもちろんちゃんと覆っておく
・常に画面全体を見ながら行い、バランスを考えてやる。粒の大きさとか、行った後のイメージをできるだけ持つ。実技としては筆を近く遠く、はじき方を強く弱く、右効きなら左手をバーのように前に平行に出して、それに筆を持った右手をポンポン当ててしぶきを飛ばす。指ではじくだけなんて思っていませんか?
・終了後点検し、加筆する必要があれば加筆する。スパッタリングだけではたいていもう少しここが・・・的な部分があるので、そこは筆で色を加えたり背景保護色で消したり、完成は永遠にないのだぁああ・・・でも適当に妥協する(爆笑)
画材の種類 画家はこんなもの使って絵を描いているのかぁ・・・
最初にお断りですが、ぼくはアクリル中心に、水と親和性のある絵の具を使うので、油彩、
また日本画用の絵の具については無知です。ゴメンナサイm(__)m
① 絵描き初心者に間違いのないおススメ
ベストの選択(あくまでぼくのなので、他にも沢山あると思います。)→ リキテックス社のプライムシリーズをメインにする。理由 透明性が高く、よく伸び、乾燥後の色変化が少ない。欠点→ 値段が高い、色が希望の全種類ないので混色するのが面倒。よって→ サポート軍団に同じリキテックスのレギュラーやソフト、大量に消費する白と黒はターレンス社のアムステルダムシリーズを使う です。
アクリルガッシュってよく聞きますが、まあポスターカラーのイメージがいいかなぁ・・・ぼくも面白そうで使ってみたけど、普通は使わんなぁ・・・不透明でベターっと塗る感じですかね。保存に弱いといわれてるし、意図的に併用がいいのではないかなぁ・・・使い方で面白い風合いは出せますね。例えば薄く溶いて水彩風みたいな。これも個人の感想です。
メディウムについて→ メディウムなしではアクリル画は描けないといってもいいでしょう。詳細知りたければネット検索などで勉強しましょう。簡単にいうと、絵具に混ぜて質感を変えたり、乾燥を遅らせたりするもの。例えばジェルメディウム混ぜると艶が出るし、マットメディウム混ぜるとザラザラした感じに仕上がる。もっと面白いのはビーズとか砂入っているのもあります。あと下地作りにそのまま塗るジェッソ、モデリングペースト、パミスなどいっぱいあるにゃあ・・・
そういえば忘れてた、最近は油彩の人でもアクリルを併用する方が増えてきましたが、やってはいけないのはアクリル→油絵具はOKですが、油絵具の上にアクリルはだめです。はがれちゃいますので。念のため。
(新米の)画家が突き当たっている問題とか 2023/4/24(月)
まずデッサン力 これはデッサンの練習をするしかない、と思うかもしれないけど、そうではありません。もちろん練習は大切ですが、デッサン力とは例えばブドウをみて描いたらちゃんとブドウに見える力だけど、それはそっくりリアルに描けばいいということではないと思います。
その呪縛にハマるとデッサンはうまいけど、それだけの人で終わるんです。そっくりってことは本物より劣るという意味であり、それは写真かAIがやってくれます。空気感というか、絵とわかるけど、観た人が、感覚的に、「これこそ本物のブドウ! 」って思えるものを目指したいです。
次に画力、表現力といってもいい、つまり自分の描きたいイメージをその思いどおりに描く力です。僕は頭の中にイメージとか、表現世界は描けるけど、その通り描けない画力に頭抱えてます😭
構成力、配置 描く人によって違うと思います。習い始めの頃は、何も考えずモチーフをその通り描いてましたが、すぐに面白くないので場所を変えたり向きを変えたりし始めました。最初水彩で描いていたせいもあり、そのうち、出来上がった絵を見て、「これはもっとこっちに描いとけばよかったなぁ・・・」みたいなケースが多いことに気がつきました。水彩なので上から塗ることもできず、自然に最初から構図を考えるようになりました。油彩で始めていたら違っていたかも知れません。今は描く前にかなり考えてから始めます。多分描く側の多くの人は(そうじゃない人もいます)、習熟してくるほど、取り掛かる前に構図、つまり画面構成やオブジェの配置をかなり考えてるんじゃないかな・・・観る方もそういう視点を併せ持って観ると面白いかも知れません。僕の絵はよく「これなに? 」「なんでここにこんなものあるの? 」って質問を受けます。それに答えるのが結構快感だったりします^^;
個性。近藤親分によく言われる言葉、つまり自分にしか描けない絵です。どこかで書いたけど、世の中うまいなーっていう絵はゴマンとあります。でも、どっかに飾ってあっても素通りされてしまう絵は描きたくないです。「うわ! この絵見て見て! おもろくね? 」とか「この絵◯◯の絵やね! ヤッパいいよね! 」みたいに観た人が言ってくれる絵が描きたいです。
描きたい絵を見つけたり、鑑賞力を上げるには?
別に絵は、「友だちに誘われて美術展行って楽しかった! 」的なことでいいんですが、ここでは掲げたテーマの視点で書いてみます。
大量の絵を観る! でも、「絵には見方ちゅうもんがあるんや! 」です。自分はその絵のどこに惹かれるのか、どこが好きなのか、もしこの絵を描こうと思ったら、技術的な疑問点はどこにあるのか、みたいに、全体像だけでなく、少し分析的に捉え、ちょこっとメモったりしてると、自分が気に入っている絵や、それを描いた画家の特徴が見えてきます。目が肥えるって言葉ありますよね。描くにしても観るにしても、やっぱり力をつけると見方も描き方も変わってくるし、後から思い出して、「あの時はこうとしか見てなかったけど今ならわかる・・・」的な気分になってきて、すると無性に「あんな絵が描きたい! 」「もう一度観たい! 」「あの絵が欲しい! 」みたいな気分が湧いてきます。そしてそれは、自分を知ることにも繋がってきます。「私はなぜあの絵に惹かれるんだろう? 」という疑問の答えは自分の中にあるのですから。
その絵が生まれた背景や画家の生きた時代、環境など、周りを取り巻く知識を知るのもとても楽しくて、絵に対する愛着が強まります。大画家でなくても、いやむしろ身近かな現代の作家さんや知己の方が面白いです。直接本人から説明聞くことも出来ますしね。個人的には作家さんの話や制作秘話みたいなのを聞くのは大好きです。
2023年6月4日(Sun.) 水彩色鉛筆について
写真は左上がAD72色、右上がステッドラー60色、左下がユニ36色
最初に書いておこう!本格的に描きたいならAD72色がオススメ。高いけどなんと言っても色が多い。それはとてもストレスフリーなんです。あとは欲しい色をステッドラーで補完。水筆を何本か買って便利さを知った上で、筆をちゃんと揃える。筆の揃え方はそのうち書きますが、ネットでも画材やさんでも教えてくれます。まず道具を揃える。飽きたらAD高くで売れるので大丈夫😀
習い始めたのが水彩画からだったので、最初に水彩色鉛筆も買いました。それがファーバーカステルのアルブレヒト・デューラー(以下AD)です。たまに使ってましたが、そのうちにアクリルに進んだことや、水彩色鉛筆と水彩絵具の兼ね合いがよくわからなかったこともあって離れてました。
今回「妖精たちのホタル狩り」と、「雨の中の紫陽花」を書くにあたってユニとステッドラーを買いました。理由は雨の日の背景の青みがかったグレーに惚れて、ADで探したけどないので、それがステッドラーの125-602と知り買いました。ついでにと思ってuniも買ってみました。125-602は青みの入ったグレーで、他にはない素敵な色でした。
で、これを機会に3社のものをあれこれ使ってみました。全体を通しては、ADは描き心地が柔らかいです。これは最初からの印象で、それに対してステッドラーのカラトアクェレルは少し硬めに感じました。ユニはその間って感じかなぁ。あくまで個人の感想です。
水筆で水をつけて描いてみた感じは、どれもいい感じでしたが、乾燥後はステッドラーは線が残る感じ、ADは滲みが出しやすい感じなので、使い分けたらいいかもなぁと思った。ADは写真ではわかりませんが、滲みも含めて乾いてもしっかり色が残ります。顔料多め?一応水筆と水に溶いた感じの写真です。あんまりわからないかな、すみません、本格的に知りたい人はネットで検索してみてください。
水筆はスケッチとか簡単に描くには便利だけど、本格的に描く時はボクは使いません。全然ダメなもので(笑)それだけで上手く描く人ごめんなさい🙏
ユニは良くも悪くも日本のメーカーって感じ、つまりニュートラル、色も良くて、水に溶いてもそのままの色合いが残る感じとかあるけど、何か物足りないのは複雑な色を出すのが難しいのと、決定的に色が少ないです。36色では自分で混色していくしかないけど、それならADとか使っちゃうので、ちょっと厳しいと思いました。値段も手頃で初心者向き(あれ? ぼく向き😛)
と言うわけで個人的にはAD中心に必要な色をステッドラーで補完していくのが良さそうです。もちろん他にも使ってみたいカランダッシュやダーヴェントとかありますが、高いし、水彩色鉛筆でそこまで描きたいとは思わないので今回はパスです。
2023年6月7日 支持体の下地の作り方
慣れないうちはアクリルなのに水彩紙に描いてましたが、技法が広がると、さすがに辛く、ここで下地の作り方を初心者さんが遠回りしないよう書いときます。これでバッチリですよ。
アクリルで紙では辛くなる理由:刷り込みブラシ、意図的に先をバサバサにした筆などを使うと、紙が持たず、そういった筆を使って擦ったり、ドライでぼかしたりすると、紙が消しゴムのカスのようにいっぱい出てきて、やりすぎると最後は破れてしまいます。
下地作りとその理由
キャンバス:そのままでいい人は問題ないと思います。精緻な絵を好む人はあくまで布なので微妙なデコボコがあるので、それを埋めるとき。
ボード:間違ってもラワンのボードは使用しません。もちろん上にワトソン紙などを貼るならいいですが、ここではシナベニアのボードを使います。
で、下地材は「ジェッソ」です。ジェッソはチタニウムホワイトの顔料にアクリルエマルジョンと石灰が混ざったものみたいですが、嗅いでみると少し臭いかな。で、代表がホルベインのもの。どこのでもいいけど、ぼくはそれを使ってます。粒子の荒さで細かい方からS,M,L,LLの4種類あって普通はSかMでしょう。どちらがいいかは好み。私はまず数回Mを塗ってからSを塗ります。塗る回数や濃い薄いは完全に好み。経験値を積まないと仕方ないところはあるかな。あとカラージェッソもあるけどこれは使ったことありません。下地から色を付けたければ結構便利と思います。何色もあったと思います。ジェッソは300mlで1300円くらいかな。
塗り方:ジェッソを好みの粘り気まで水で解く。水は20%までとか書いてあるけど無視してOK。計量カップで測ってるサイトもあるみたいですが、感覚が一番。あんまり水が少ないと、特に支持体が大きいとなかなか伸びずにイラつくから50%くらいは水を入れるか、私は支持体に霧吹きします。5、6回塗って、少し水を減らしてまた塗って(言うまでもなく縦、乾いたら横って感じです)、最後の仕上げは紙やすりを平坦な木のブロックなんかに巻いたもので納得できるまで磨きます。触るといい感じ!
下地作りする理由は、表面を滑らかにして絵の具を塗りやすくする。定着や発色もよくなります。特にアクリル絵の具とは素材が似ているのでとても相性が良く、私はこれなしでは描けません。
2023年7月6日 なぜ私は紙パレットを使わなくなったのか
まず紙パレット(ペーパーパレット)について説明しておきましょう。
とても便利で、使い捨て、私も初めてこれを知った時、「なんて便利なものだろう!」と思いました。皆さんにはこちらをお勧めします。
アクリルは乾燥が早いので、紙パレットを百均で売っている薄いプラケースの底にキッチンペーパーを濡らして敷き、その上にパレットを入れて、さらに上から霧吹きして閉じておけば、何日も乾燥を防げます。でも、以前あまりに長期間ほっておいたら、裏にカビが発生したのでご注意を!
紙パレットを使って1年半ほど経ったある日、youtubeである女性の画家さんが、アクリル絵の具を木のパレットを使って混色して描いているのを見つけました。
その混色がすごく綺麗で、「カッコいい❤️」と、その人に憧れ、木のパレットを初めて買いました。すると、「なんだ? この感じは?」木の上に何色か色を出し、ペインティングナイフで混色すると、ものすごく快感が! 「あ、これは?!」と、しばらく使ってみると、紙では感じなかった混色の楽しさが湧いてきます。しかし当然のことですが、いちいち洗わないと固まってしまいます。彼女はきれいに洗ったものを使ってました。
木のパレットは最後は洗わないといけないし、新しい混色を作るためには以前のものは落とさなければなりません。ところがめんどくさりやの私はだんだん手抜きになっていき、その結果パレットは以前の絵の具が残ってボコボコで使えない。そこでドライバーで固まった絵の具をこそぎ落とし、アイキャッチ画像のような姿になったんです。ところが、そのパレットに残った絵の具が綺麗だったんですね。とてもいい!それを見ているだけでも何かが生まれそうで次の絵のヒントになったりしました。洗うのをサボった結果生まれた混色だらけのパレットの上に新しい絵の具を出して混色すると、次々といろんな色が生まれるんです。しかも以前のものがヒントになって次の混色がさらに素敵なものに!
やっぱり所詮使い捨ては使い捨て、繰り返しになりますが、半断捨離派の私は、自分の絵の歴史が残る(というと大層ですが)木のパレットを手に、特注のBABY METALの法被を羽織ってキャンバスに向かいます。「この美しい姿こそが名画を生むのだぁあ!」 失礼しました🙏